ヒマラヤの国ネパールは、世界の登山愛好者が憧れの地ですが、絶対貧困層と言われる1日当たり1.25ドル以下の貧困割合は55.1%、相対貧困層である2ドル以下は30.9%という後発開発国です。所得分配の不平等や富の偏在を示すジニ係数は47.3% と突出している貧しい国で、識字率は55.5%で女性は40%以下と言う状態です。政情は不安定で、非農業セクターの不振、頻発するストライキ、長時間の停電の影響で経済成長は望めません。物価は2005年以降、石油製品価格の値上げや闇市場の横行に伴い、物価の上昇傾向が著しくなっています。人口の65.7%は農業従事者ですが、農村地帯の経済疲弊に伴い都市への人口流入が増加し、従って都市での貧困格差は広がる一方です。(数値は、在ネパール日本大使館が2012年5月に発表の「ネパール経済2012」ほか)
ネパールでは、こうした中で海外から様々なNGOや組織団体が援助の手を差し伸べてはいるものの、昨今の世界レベルの経済停滞の影響から、活動に逡巡や撤収傾向が著しくなってきました。首都カトマンズや隣接する古都ラリトプル周辺には、貧困の罠から脱出したくともその手立てのない女性たちは、家や夫に隷属してなすことなく過ごし、庭先の掃除程度のその日暮らしの日銭を稼ぐしか手立てがなく、経済的に貧しい地方から生活の安定を求める人々の都市流入が増加し続けています。
芦屋ロータリークラブは、首都カトマンズに隣接する古都ラリトプル周辺の貧困女性の自立を支援しようと、元米山記念奨学生のアルチャナ・シュレスタ・ジョシ(Archana Shrestha Joshi)さんが帰国後に立ち上げ、妹の妹のロジナ(Rojina)さんと運営するルーザートレーニングセンター(Loojah Training Center)での活動をネパール第3292地区のJawalakhel Manjushree (ジャワラケル・マンジュシュリ)ロータリー・クラブと共に進めています。
貧しさに喘ぐ女性たちが仕事に就きたい最も人気のある技能は、縫製、美容、調理などの身近な生活に密着した作業です。こうした技能を身につければ、彼女たちは起業や就職が可能であり、自らの力で生活自立の階段を上ることで、貧困から脱出し地域社会の一員となることができます。